イチから作ったパンが食べられる街のパン屋さん -ブランジュリーアキラ / あきらぱん オーナー 佐藤晃さん

弥富市内はいわゆる"街のパン屋さん"が少ないです。

今回の取材は、弥富市にほど近い愛西市にある「ブランジュリーアキラ」と近鉄弥富駅前の「こむぎ工房 あきらぱん」のパン屋2店舗を経営する 佐藤 晃(さとう あきら)さん(39)に、こだわりのおすすめパンの情報やパン屋経営の裏側などについてお話を伺ってきました。

(取材日:2019/12/12 愛西市ブランジュリーアキラにて)


パンはイチから作るのがこだわり

-(コジロウ)お忙しいところ、お店の営業時間中に時間を割いていただきました、ありがとうございます。最初に、お店のことを教えてください。

(佐藤さん)今日はお願いします。

本店となる「ブランジュリーアキラ」は父、母と共に9年前に開始しました。

母が働いていた喫茶店の店舗を前オーナーさんに譲っていただいてスタートさせました。

家族経営というとよく聞こえますが、家族ならではの「遠慮のなさ」があり、父と母と私と3人にそれぞれパン作りや経営の仕方に違う方向性の考えがあったので、開店当時は色々と話し合いながら進めてきましたね。


私はどの原料をどこから仕入れて、どんな工程でパンを作ってくか、イチから全部作るパン屋をやりたかったので、そこにはこだわりを持ち、今も自分で作り上げたパンを提供しています。


-「イチから作る」って素人目に見ても大変なことですよね。でもその工夫と苦労が「アキラパンの味」を作っているんでしょうか。

そうかもしれないですね。店舗では、全部で60種類程度の商品を現在提供しています。

規模的には種類が特別に豊富というわけではないですが、1つ1つ丁寧に自分で研究して開発しています。

他店の見学をすると、美味しい商品がありますから、他がやっているパンを作りたくなってしまうので、他店研究はしていないですね。友人やスタッフから提案を受けて、商品に仕上げることはあります。


-60種類もあると選びづらいと思いますが、敢えての"おすすめの商品ベスト3"を教えてください!

1つめは、「まぼろしの生食パン」です。

非常に柔らかくて美味しいと評判です。

パンが柔らかすぎて、焼きあがったパンを型から取り出す工程は、慣れていないスタッフではパンが崩れて難しいほどです。


小麦、生クリーム、バター、はちみつ、イーストなどを使っていますが、バターや牛乳を多く使って味を美味しくする手法ではなく、小麦そのものに「まぼろしの小麦粉」を使っていて、口どけが良いです。

製法は独自のものを研究開発しました。氷温熟成の一種ですが、練り方と熟成の工程に秘密の工夫をして作っています。


-(生食パンを食べました。)ホント、柔らかくて美味しいですね。すっとちぎれて、口の中でもふわっとやさしい味がします。2つ目お願いします!

2つ目は、アップルパイですね。

"イチから作る"を採用しています。りんごは缶詰での仕入れではなく、生のりんごの状態からお店で加工して作っていますし、パイ生地も独自の製法と原料を使って作り上げています。

兄が八百屋を独立して始めたのでりんごを始めとしたフルーツや野菜の仕入れは安定しているんです。


アップルパイを出すパン屋さんは珍しくないですが、多くは工場などで作られたものを冷凍で仕入れてきて、店で解凍して出しているはずです。

私の場合はアップルパイの仕入れで金額的な折り合いがつかず、製法を独学で学んでアップルパイも店で作って提供することにしました。


-うまく仕入れができなければ諦めるのではなく、自分で研究して作っちゃうんですね。しかもそれがベスト2になるほど美味しいとは..。3つ目お願いします。

3つ目は、自家製天然酵母のバケットルヴァンですね。

干しぶどうを用いて天然酵母を増やしていくところも自分でやって、作っています。

これも独学で色々と研究しながら安定にこぎつけて提供していますね。


-バケットも美味しいですね。ランチに来た際に焼いたものを食べました。ランチといえば、ビーフシチューも人気ですよね。

ランチメニューで提供しているビーフシチューは、開店当時からあるメニューですが、2年ほど前に東海テレビの番組で取り上げられて人気が出ましたね。

ランチではビーフシチューとパン食べ放題、ドリンクがついて860円ですが、私が8月6日生まれなので"860円"にして、提供当時から9年ずっと同じ値段です。



アレルギーに対応した受注生産のサービス

-(美咲)アレルギーに対応したパンも提供されていると伺いました。

そうですね、アレルギー対応のオーダーメイド対応もしています。

私の息子が小麦と卵のアレルギーを持っており、アレルギーそのものとアレルギーに対応するための原料について学ぶ機会を得て詳しくなりました。

息子が子どもの頃には、給食で出る食事がアレルギー対応ではなかったので、私がアレルギーに対応したパンを作り、子どもに持たせていました。

それで、きっと他の親御さんでも自分の子どもに持たせる食事で困っている人がいるのではないかと考えまして、アレルギー対応のサービスを始めました。


アレルギーは人それぞれですし、食べやすい形状や原料も人によります。親御さんの要望もあります。そういったことを相談に乗り、米粉を使ったものやウインナーを巻いたもの、細長い橋上のものなどをアレルギーに合わせて作って提供しています。


新品のシリコンペーパーと新品の手袋を毎回使用し、小麦などが微量混入しないように配慮もしています。

-ご自身の経験から生まれたサービスなんですね。どのように申し込めば良いでしょうか。

まずは一度お会いして、状況を聞いた上で受注生産となります。電話で良いので予約をお願いします。


家族の夢だったパン屋経営

-(コジロウ)アキラさん自身や店舗経営の思いについても教えてください。

私自身は、弥富の荷上生まれで、弥生学区で育ち、愛西市の佐屋高校で農業を学びました。

高校卒業を控えて就職活動をする際に、やりたいことがなくて困ったのですが、父が弥富市内のスーパーマーケットでパン屋を立ち上げる事業に携わっているのを見て、パンに興味を持ったことがきっかけで、私は大手製パンメーカーのベーカリー事業会社に就職しました。


それまでは「何をやっても続かないな」と自分では思っていましたが、パン作りは楽しくて続きましたね。

当時、スーパー内の店舗でのパン提供が主で、そこではミックス粉を用いたパン作りが多く、パンをイチから作っておらず、冷凍ものの使用もありました。

そういう中で、やはりパン作りの楽しさは一から作ることにあるんだと気づきましたね。

その後異動した百貨店内の店舗ではイチからしっかり作ることができましたので、大手百貨店内で製造チーフをしていた頃は楽しかったです。クロワッサンマシンなど、貴重な装置を扱う機会もありました。


その後、大治町の店舗や大手百貨店内の店舗の店長を務め、店舗経営にも楽しさを見出しましたが、「30歳までには独立したい」という夢を22歳の頃に立てましたので、30歳でベーカリー事業会社を退職し、家族とともにブランジュリーアキラを開店しました。

父が定年退職のタイミングで、母も「息子と店をやりたい」と夢を持っていましたので、色々と良いタイミングが重なりました。


-弥富にも「こむぎ工房あきらぱん」をオープンされましたね。

愛西市内でブランジュリーアキラを9年やっていますが、私自身が弥富生まれですから、いつかは弥富市内で店を出したい、という思いがあったのは確かですね。

近鉄弥富駅前に2018年3月にオープンしています。

愛西の店舗で作ったパンを弥富の店舗に持って行っていますので、「焼きたて感」をいかに残すかが難しいところです。

他、現在は、JAあいち海部のグリーンセンター津島店グリーンセンター十四山イオンモール桑名にもパンを提供しています。


-最後に、今後の目標などを教えてください。

そうですね、パン以外のことも含めて色々やってみたいなと考えています。

「シュトレーンはできないの?」とスタッフに言われて作ってみたんですが、試作で結構美味しくできたので、商品化に向けて研究中です。

文鳥パンは、最近売り出しましたが、近隣の佐屋高校と小学校のコラボレーション企画で、「一緒にやりましょう」と相談をいただいてやり始めました。昔は佐屋高校と連携して、高校生レシピの商品を出したり、愛西市名産のレンコンを使った商品を出したりもしていましたから、そういった地域との連携も面白いですね。


-今日はありがとうございました。街のパン屋さん、とても貴重なので今後ともよろしくお願いします。



編集後記:美咲さん

私は小麦に対してアレルギーがあるため、あまり積極的にパンを食べないのですが、あきらぱんさんは美味しいので、JAに買い物に行く度に、ついつい買ってしまう隠れファン。

なので、今回インタビューを楽しみにしていました。

小麦・卵・乳製品を使用していないパンがあるという案内を見た時に、すごいな〜〜と思っていました。グルテンフリーのパンは市販ではなかなか売っていないので、必要としているお母さん達がいるのでは、と。

ご自身のお子様のアレルギーの体験談を伺って、ご自身も大変だったからこそ、同じ境遇の親御さんの為に..というのが伝わってきました。


米粉パンは、形や中に入れる具材をリクエストできたり、コンタミにも細心の注意を払っていて、アレルギーを持つ子どもさんでも、安心して楽しく食べられると感じました。

原材料のこだわりや、パンへの情熱、そしてあきらさんの期待に応えるサービス精神に触れて、益々ファンになりました!

必要な方に届いてほしいです。


また、取材の後日、米粉パンを注文しました。

小麦のパンと違い、モチモチ!米粉のパンは好みが分かれる場合がありますが、個人的には食感、味と共に好きでした(^^)

焼くと表面がカリッとしてオススメです。子供にも持ちやすいサイズですね。

今度は中に具材が入っているバージョンをお願いしてみようと思います。

米粉パンがいつもお店に置いてあれば嬉しいなぁ、と要望させていただきました!

ありがとうございました。



取材:コジロウ、美咲


◆ブランジュリーアキラ

  • 愛知県愛西市東條町平城17
  • 0567-32-1337
  • 営業時間:火~金・土・日 7:00~18:00
  • 定休日:月曜日

◆こむぎ工房あきらぱん

  • 愛知県弥富市鯏浦町西前新田48-1
  • 0567-55-8161
  • 営業時間:火~金・土・日 7:30~19:00
  • 定休日:月曜日

コジロウ

弥富市非公式Webメディア「やっとみつけた、弥富」編集長です。
http://yatomi.localinfo.jp

愛知県弥富市在住。
1984年生まれ。


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