【インタビュー】近畿日本鉄道株式会社 近鉄弥富駅長 谷﨑隆二さん、近鉄弥富駅 桑原行雄さん
弥富の交通を支える近鉄電車!
弥富市の特徴と言うと「交通の便の良さ」を挙げる方が多くいます。
高速道路や主要国道の他、電車では近鉄、JR、名鉄の3社が通っており、近鉄弥富駅は近鉄急行が停車し、佐古木駅も市内にあります。
近鉄弥富駅はJR/名鉄の弥富駅への徒歩移動が容易で乗換駅としても便利です。
このような弥富の動脈を支えている電車と駅は、この地域を印象づけ、発展を推進することに重要だとボクは考えますが、2019年は、近鉄弥富駅での金魚と文鳥が描かれた顔出しパネルの設置や、近鉄様主催の白文鳥ハイキングが開催されるなど、近鉄弥富駅や佐古木駅での催しが盛んです。
このような取り組みを企画されている、
近畿日本鉄道株式会社 鉄道本部 名古屋統括部 近鉄蟹江駅長 谷﨑 隆二(たにぐち りゅうじ)さん と、
文鳥イラストなどを自らデザインされている、
近畿日本鉄道株式会社 名古屋統括部 近鉄蟹江営業所 桑原 行雄(くわばら ゆきお)さん に、
企画に至った背景や想いなどを伺ってきました。
(取材日:2019/12/25 近鉄弥富駅にて)
幸せを運ぶ白文鳥とコラボして、駅を「幸運を掴む」パワースポットに
-- (コジロウ)今日はよろしくお願いします。まずは近鉄弥富駅の基本的なことを教えてください。
(谷﨑さん)はい、近鉄弥富駅は1944年に関西急行電鉄から近鉄の駅となりまして、当時は「近畿日本弥富駅」でした。その後、1970年に「近鉄弥富駅」に改称となり、来年2020年は改称から50年となります。
乗車と降車の人数を併せて1日平均1万人強が利用する駅で、近鉄蟹江駅と並んで多くの方に利用していただいております。
-- ボクも通勤に近鉄弥富駅を利用しています。駅長さんご自身についても教えてください。
(谷﨑さん)私は伏屋駅〜近鉄弥富駅間を担当しています。
近鉄蟹江駅のほか、近鉄弥富駅や佐古木駅など担当区間内の駅長です。
昭和58年(1983年)に入社しまして、初期配属が近鉄蟹江駅でした。
その後、平成27年10月〜平成29年5月までは三重県にある白子駅の駅長を務めました。この時に「F1のまち」という印象づけをする企画を考えたり、花火の三尺玉レプリカを飾るイベントをしたりと、駅を活用した地域貢献をして盛り上げることを始めました。
そして、初期配属で思い入れのある近鉄蟹江駅で再度働けることとなり、平成30年2月から現職に就いています。
-- 白子駅などでの企画のご経験はあったとのことですが、近鉄弥富駅では今年2019年に文鳥と金魚の顔出しパネルが突如登場し、驚きました。その後様々なイベントを企画されていますが、弥富でイベントを開始したきっかけが何かあったのでしょうか。
(谷﨑さん)弥富市が開始した「弥富スイートハートプロジェクト」がきっかけですね。「恋のまち やとみ」を掲げて市内イベントをしているのを見て、自分たちも金魚や文鳥などに関連したイベントが何かできないかと考え始めました。
そんな折に歴史民俗資料館の文鳥職員 ぶんちゃんが人気であること、ウイングプラザパディーで文鳥マルシェが開催されるということを聞き、特に弥富の白文鳥に興味が出てきまして、白文鳥のことを多めに取り上げています。
-- 白文鳥発祥の地、弥富ですもんね。どのようなイベントをされましたか?
(谷﨑さん)金魚と白文鳥を描いた顔出しパネルを2019年2月に設置し、バレンタインデーにはパネルを使ったイベントを開催しています。
2019/5/11には、「mini文鳥マルシェ2019」がウイングプラザパディーで開催され、歴史民族資料館ではぶんちゃんの誕生日会があり、これを視察に行きました。
2019/7には、ぶんちゃんが蟹江警察署の1日署”鳥”に任命されているのを見て、近鉄弥富駅”鳥”にもなってもらうことを発案しました。
2019/8/17-18は「夏のやとみ文鳥マルシェ2019」が開催されましたので、主催者さんと連携し、駅構内にポスターを掲示したり、構内放送をかけたりしました。
そして、10/24は文鳥の日ですので、2019/10/24は「文鳥ハイキング」を企画しまして、弥富市内の文鳥スポットを愛鳥家の方々中心に回りました。
現在は、駅構内に顔出しパネルをさらに追加し、文鳥イラストをあしらった大きなタペストリーを掲示、「幸せを掴むつり革」も作って、SNSキャンペーンを展開しています。
-- 現在開催中のSNSキャンペーンとは?
(谷﨑さん)顔出しパネルやつり革などを使って写真を撮っていただき、「#近鉄弥富駅」「#パワースポット」「#白文鳥」とハッシュタグをつけたSNS投稿をした画面を駅員に見せていただくと、文鳥カードや電車グッズをプレゼントするものです。
-- 文鳥のイラストがとても完成度が高くてかわいいんですよね。これ、てっきりプロのデザイナーさんの絵かと思いましたが、近鉄の社員さんが自らデサインされたと聞いてびっくりしました。
(桑原さん)文鳥イラストなどの制作はすべて私のものですね。
元々イラストが好きだったのですが、専門的に学んだわけではないので、とにかく白文鳥の写真をじっくり見て研究して絵を描いています。
最初は、白文鳥を「しろ文鳥」と読んで放送をかけたら「はく文鳥」だ、とご指摘を受けてしまって読み方を知るほど、文鳥のことをよく理解できていなかったのですが、「文鳥イラストは、ふくよかで可愛らしい感じで」という駅長のオーダーに応えられるように頑張って研究しました。
(谷﨑さん)企画自体は私が考えられるのですけど、絵を描くといった制作を実際にできるメンバーがいたことはとても大きいです。桑原さんはオスの文鳥の絵を最初描いてくれましたが、「メスも追加しよう」という言葉にすぐ応えてくれて、助かりました。
(桑原さん)私は、今は近鉄蟹江駅や近鉄弥富駅などを担当していますが、平成23年ごろに開催した「金魚電車」が印象に残っていて。金魚が好きな方に参加してもらって、近鉄名古屋駅を出発した電車の中で金魚すくいをするイベントだったんですけど、それが楽しかったので、何かイベントをするのは私も好きですね。
駅業務が優先とはなりますけど、カメラのシャッターを押すことは駅員も対応しますので、顔出しパネルで社員を撮るときなどは気軽に声をかけていただきたいです。
"弥富と言えば"という話題を作り出していく駅にしていきたい
-楽しみながら様々な企画をされているのですね。今後も企画はありますか?
(谷﨑さん)そうですね。継続して今後も企画考えています。最近は弥富市や観光協会さんとも話し合いを進めています。
3月3日は金魚の日ですので、何かできないか構想しているところです。
白文鳥は「神の遣い」「幸運を運ぶ鳥」と言われることがあり、非常に縁起が良いものと愛鳥家には認識されています。
運をつかむ金のつり革もそれで設置したのですが、受験の合格祈願やバレンタインデーの恋の成就など、パワースポットになることを目指して、弥富を盛り上げていきたいですね。
駅で降りれば顔出しパネルや金のつり革は改札内にありますので、近鉄弥富駅を利用されている方はもちろんのこと、通過するだけ方も一度近鉄弥富駅で降りていただいて楽しんでいただきたいです。
運を掴むパワースポットの駅として、電車を使う方も使わない方も含めて利用していただきたいです。
「近鉄の駅で写真を撮ったら、受験合格したよ!」という声はぜひ聞きたいですね。
-- 企画はどうやって考えておられるのですか?
(谷﨑さん)近鉄沿線の町や、近鉄という会社自体の歴史を調査して興味深いことを探し、取り上げていますね。
来年は近鉄蟹江駅、近鉄弥富駅に改称して50周年ですので、地元の方々も社員も楽しめることを考えたいです。
(桑原さん)愛西市にある佐屋高校さんでは文鳥プロジェクトがあり、私とは年代の違う生徒さんたちが頑張っている姿を見て刺激を受けています。
弥富のことや金魚や文鳥のことなどを誇りに思っているその思いをぜひ私や谷﨑駅長に伝えて欲しいです。一緒になって地元の歴史を知り、近鉄の歴史とも重ね合わせて、何か化学反応が起きると良いなと考えています。
(谷﨑さん)電車の写真をとても綺麗に撮ってくださる地元の方がいて、その方から提供を受けた写真でカードのデザインをしたり販促グッズを作ったりしています。地域の方の協力はいつもありがたいです。
-- 今後の近鉄弥富駅は、どのようにお考えですか。
(谷﨑さん)まだ個人的に夢として考えているだけですが、駅の老朽化は進んでいますので、綺麗に塗り直した上で、電車から文鳥や金魚の絵が見えるようにするのは理想ですね。
駅長を務めた白子駅のある三重県鈴鹿市が“鈴鹿といえばF1”と言われるようになったように、「弥富の駅といえばコレだよね」というものをもっと考えたいです。
今年設置した白文鳥の巨大タペストリーは年中使えるようなデザインにしましたし、今現在は期限なしで掲載を続ける予定です。
近鉄からも色々と企画を出していきますので、市民の皆さんには駅をパワースポットとして活用いただき、積極的に発信していただきたいですね。
-- 今日はお忙しいところありがとうございました。地域を支えるインフラの企業の駅長さんにまちづくりを真剣に考えていただき、嬉しいです。
編集後記
ボク(コジロウ)のお友達が先日弥富に遊びに来たので、近鉄弥富駅内で遊ばせてもらいました。こういうことにも使えてありがたいです。
近鉄弥富駅
佐古木駅
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